ケーキやタルトの表面をツヤツヤに仕上げて、フルーツの鮮やかな色を保つためによく使われるのが「ナパージュ」ですよね。
そのまま使うだけでプロっぽい仕上がりになる便利アイテムですが、いざ作ろうと思ったときに「ナパージュを用意するのを忘れていた!」「少量しか使わないのにわざわざ買うのはもったいない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、身近な食材であるジャムを使ってナパージュの代用ができるんですよ。
ジャムなら普段から家にある方も多いでしょうし、好きなフレーバーでお菓子にアレンジを加えるチャンスでもあります。
しかし、単にジャムを塗るだけではベタベタしてしまったり、思うようなツヤや固さにならなかったりするかもしれません。
そこで本記事では、ジャムを使ったナパージュ代用の基本知識や作り方の手順、きれいに仕上げるためのコツを詳しく解説していきますよ。
フルーツタルトやロールケーキなど、さまざまなお菓子に応用できるアイデアも紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ジャムさえあれば、いつでも手軽にナパージュ代わりを作れますから、お菓子づくりをより自由に楽しめるはずです。
では、さっそく見ていきましょう。
ジャムでナパージュを代用する基本

「ナパージュ」はフランス語で「塗る」「覆う」という意味があり、お菓子の表面に塗ることでツヤを出したり、フルーツを乾燥や変色から守ったりする効果があるんです。
ここでは、そんなナパージュを「ジャムで代用」する際の基礎知識として、適したジャムの種類や必要な道具などをまとめてご紹介しますね。
適したジャムの種類と特徴
使うジャムによって仕上がりの風味や色味が変わります。
そこで、まずは「どんなジャムがナパージュ代わりとして向いているのか」をチェックしていきましょう。
おすすめのジャムの種類
- アプリコットジャム:
- フルーツタルトのナパージュとして定番。
- 色が薄いオレンジ色なので、上に乗せるフルーツの色を邪魔しにくい。
- 甘酸っぱく、フルーツとの相性も良い。
- ピーチやアップル系のジャム:
- 色が淡いタイプで、香りが優しい。
- 透明感を出しやすく、どんなお菓子でも合わせやすい。
- マーマレード:
- やや苦みと強い風味があるが、オレンジ系のお菓子にはぴったり。
- ただし、皮の固形が多いとツヤを均一に出しにくいので、注意が必要。
これらは色味が比較的淡く、フルーツの上に塗っても違和感がないのが特徴なんですね。
酸味があるジャムはさっぱり仕上がりますし、甘いジャムはしっかり甘さを補ってくれますよ。
避けた方が良いジャム
- イチゴジャムやブルーベリージャムなど色が濃いもの:
- 色移りしやすく、フルーツや生地の見た目を変えてしまう可能性が高い。
- ただし、チョコレートケーキなど色が濃い生地には合うかもしれません。
- 塊が大きいジャム:
- 果肉のゴロゴロ感が強いタイプだと、ツヤ出し目的のナパージュには不向き。
- 表面がボコボコになり、フルーツが貼り付きにくくなる。
もちろん、色が濃いジャムでもレシピ次第でおいしく使える場合はあります。
ただ、一般的な「透明感のあるツヤを出したい」という目的には向いていないことが多いですね。
必要な道具と材料
ジャムを使ったナパージュ代用には、以下の道具や材料があれば十分ですよ。
- ジャム(種類はお好みで、ただしあまり果肉が大きくないもの)
- 水やお湯:ジャムを溶かして薄めるために必要。
- 鍋または電子レンジ対応容器:ジャムを加熱して溶かす。
- ヘラやスプーン:混ぜるため。
- ハケ:お菓子の表面に塗りやすいものがあると便利。
もしハケがない場合はスプーンの裏やゴムベラで広げてもOKですが、ムラができやすいので注意しましょう。
仕上がりの違いについて
本来のナパージュ(市販品)は、見た目が透明感の高いゼリー状で、固まるとパリッとした膜を作る場合もありますね。
一方、ジャムで代用すると多少色がついていたり、固まり方が柔らかめになることが多いです。
- 透明感:市販のナパージュよりやや少ない。アプリコットジャムなど色が薄いほど透明度は高い。
- 粘度:ジャムを水やお湯で薄めることで好みのテクスチャーに調整可能。
- 風味:ジャム由来のフルーツの香りや酸味が強く出ることがあるので、それが良いアクセントになる。
逆に言えば、ジャムのフレーバーを活かしてアレンジする手段としては優秀なんですよ。
たとえば、オレンジ風味を付けたいならマーマレードやオレンジジャムを使うなど、自由度が高いのが魅力ですね。
ジャムを使った代用手順

それでは、ジャムを使ったナパージュ代用の具体的な作り方を解説していきます。
ポイントは「加熱してしっかり溶かす」「固さを調整する」「塗り方を工夫する」の3つですよ。
ジャムの溶かし方
まずは、ジャムをベースにした「疑似ナパージュ液」を作る工程ですね。
加熱の温度と時間
- 小鍋や耐熱容器にジャムを入れる。
- **弱火または電子レンジの短時間加熱(600Wで10〜20秒程度)**で様子を見ながら溶かす。
- 焦げないように注意しつつ、必要に応じて少量の水またはお湯を加える。
温度が高すぎるとジャムが飛び散ったり焦げたりするので、あくまで弱火や短時間加熱が基本ですよ。
溶け始めたら火を止めたり加熱を中断し、混ぜて状態を確認するのがコツです。
固さの調整方法
- 水やお湯を少しずつ加える:一気に入れるとシャバシャバになりすぎる可能性あり。
- 好みのとろみ:スプーンですくってから垂らしたときに、滴が細く筋になって落ちるくらいが一般的なナパージュのイメージ。
あまりにシャバシャバだと生地に染み込みすぎたり、ツヤが出にくいので注意しましょう。
一方、固すぎるとフルーツの間に塊で残りやすいので、絶妙な加減を見極めるときは何度か試し塗りしてみるのも手です。
塗り方のテクニック
作ったジャム液をお菓子の表面に塗る工程は、なるべく手早く行うと仕上がりがきれいになります。
- ハケを使う:細かいところまでムラなく塗れる。フルーツの隙間や側面なども丁寧に。
- 高温のまま塗らない:少し粗熱をとった状態で塗ると、フルーツが煮えてしまう心配を減らせます。
- 一気に厚塗りしない:軽く全体に塗ってから、薄い膜を2度塗りするほうが仕上がりが安定。
あまり何度も重ね塗りすると、お菓子の上に厚ぼったい層ができる可能性もあるので、2度塗り程度が無難かもしれませんね。
ツヤ出しのコツ
仕上がりの見た目を左右するのが「どれくらいツヤが出せるか」。
ジャムが上手に塗れたときは、光沢がしっかり出て華やかな印象になりますよね。
- 温度管理:塗るときのジャム液が冷えすぎると固くて伸ばしにくいし、熱すぎるとフルーツがダメージを受ける。人肌〜50℃くらいが目安。
- 適度な濃度:薄すぎるとツヤが出にくい。かといって濃すぎるとダマになりやすい。
- 塗ったあとに軽く乾燥させる:塗布後、冷蔵庫などで少し落ち着かせると、表面が安定して光沢が長持ちします。
お菓子の種類別の使い方

ジャムナパージュを使うと、特にフルーツをたっぷり使ったお菓子が美しく見えるんです。
ここでは、代表的なお菓子の例を挙げながら、どのようにジャムナパージュを応用できるかをご紹介します。
フルーツタルトでの活用法
フルーツタルトは、カスタードクリームの上に季節のフルーツを盛りつけ、その表面にナパージュを塗るのが定番ですよね。
- ジャムの選び方:アプリコットやピーチ系など、色が淡く酸味が強すぎないものがおすすめ。
- 手順:
- タルトにクリームを詰めてフルーツを並べる。
- 少し冷えたジャムナパージュをハケでフルーツ全体に塗る。
- 冷蔵庫で軽く冷やして落ち着かせる。
ツヤが出ると同時に、フルーツの乾燥を防いで見た目がぐっと映えますよ。
ロールケーキへの応用
ロールケーキは表面がスポンジ生地なので、あまりベタベタ塗ると逆にしっとりしすぎて食感が損なわれる場合もあります。
しかし、一部のデコレーションとしてフルーツを乗せるなら、そのフルーツ部分にだけジャムナパージュを塗るときれい。
- 例:トップにイチゴを並べる場合、イチゴの表面にだけ軽く塗ると艶やかに仕上がる。
- 注意:スポンジ部分には塗らないか、うっすら1回だけで抑えるとベタつきを防ぎやすい。
プチケーキでの使い方
小さいサイズのプチケーキやマカロンなどでも、ジャムナパージュが大活躍です。
- マカロンの表面:味わいを加えつつツヤを出したいときに、ほんのり薄めたジャムをハケで塗る。
- ミニタルトやカップケーキ:フルーツを乗せる場合は、その部分だけさっとナパージュする。
見た目のアクセントにもなり、手軽にパティスリーのような仕上がりを楽しめますよ。
きれいに仕上げるためのポイント

最後に、ジャムナパージュを塗る際に気をつけたい注意点やコツを、もう少しまとめておきます。
ひと手間加えるだけで、仕上がりのクオリティがグッと上がるはずです。
塗布時の注意点
- フルーツの水分を軽く拭き取る:水分が多いとジャムが弾かれてしまうことがあります。キッチンペーパーで軽く拭いておくと良いですよ。
- 塗りすぎに注意:何度も重ね塗りすると、ベタつきが強くなって食べづらい可能性も。2回程度で留めるのがおすすめ。
- すぐに乾かない:市販のナパージュと比べて、ジャムは固まるのに少し時間がかかるので、触らずにしばらく置いておきましょう。
温度管理のコツ
- 塗るタイミング:生地やフルーツをあらかじめ冷やしておくと、表面に温度差が生まれ、ジャムがやや固まりやすくなる。
- ジャムの温度:あまり熱々だとフルーツが煮えて色がくすむかもしれません。40〜50℃くらいに調整するのが無難。
- 塗り終わったら冷蔵庫へ:一度冷やしてジャムを定着させると、崩れにくく綺麗な艶が維持できます。
保存時の工夫
ジャムナパージュを作りすぎてしまった場合は、数日程度は冷蔵保存が可能です。
ただし、再加熱すると風味が落ちるので、できるだけ使い切る量だけ用意したほうが良いですね。
お菓子を完成させたあとの保管も注意が必要。
- 冷蔵庫に入れる:他のにおいが移らないように密閉容器やケーキカバーを使う。
- フルーツの鮮度:乗せたフルーツが生ものの場合は、早めに食べきるようにしましょう。
以上、ジャムを使ったナパージュ代用についての詳しい方法やコツを紹介してきました。
最後にもう一度ポイントをまとめておきますね。
- ジャム選び:アプリコットやピーチ系など、色が淡く果肉が少ないタイプが無難。
- 作り方:弱火や電子レンジで加熱し、水やお湯を少し加えてとろみを調整。
- 塗るときのポイント:
- ハケでムラなく塗る。
- 2回程度の薄塗りで充分なツヤ。
- 加熱しすぎず、フルーツが傷まないように注意。
さらに、フルーツタルトやロールケーキ、プチケーキなど、さまざまなスイーツで活躍しますよ。
本来のナパージュが手元になくても、ジャムでしっかり代用できるので心強いですよね。
ぜひこの方法を活用して、お菓子作りにチャレンジしてみてください。
ジャム由来のフルーティーな香りや、甘酸っぱさがお菓子に新たな魅力をプラスしてくれるかもしれません。
それでは、皆さんのスイーツライフがますます充実しますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
おいしいお菓子づくりを楽しんでくださいね。